畑を借りてからの2年間

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貸し農園を借りて、もうすぐ2年。今まで撮った写真を眺めていると、色々とおかしなことをしていて、呆れます。

炭素循環農法を知ったのは2014年3月。タイミングよく交流会の幾つかに申し込み、畑の見学や、林さんの話を聞いてまわりました。

動画を見たり、ウェブページも読みました。
でも内容量に圧倒され、リンクをクリックしては迷子になり、「硬盤層をなくす」と「炭素比率の高いものを入れる」だけを覚え、畑を借りました。

目 次

2014年9月 畑を借りる

まず有機農法で運営している、M農園で1区画(14㎡)借り、農園のアドバイザーさん指導の元、無料で支給される堆肥1袋と、木材チップ(おがくず)を撒いて、耕しました。

この時、農園が元田んぼで、粘土質であることを知りました。そしてその翌日、乾くとカチカチになることも。それからは、乾いた時のカチカチ感が嫌で、乾燥防止の為にせっせと草マルチに励みました。

また家で出た生ゴミ(コーヒー滓、野菜くず、卵の殻)は、農園に置いてあった、細かい木材チップと一緒に、畑に浅く混ぜていました。

木材チップはアドバイザーさんが、近くの造園業や製材所から分けてもらっているものです。なので、チップの種類や大きさは、時期によって色々です。

畑の土が粘土質だと、乾くとカチカチになるだけでなく、雨が降るとネチャネチャになります、畑に入ると靴底に粘土がベッタリと付き、足が重くなり、作業がしづらくなっていきます。

これを避けるには、土が乾くまで2日ほど、畑に入るのを待たなくてはいけません。

もし雨がザーザー降ったりすると、3日は入れなくなるばかりか、降った翌日、様子を見に行くと、畝間は浸水していました。

最初は農園の深刻さを理解していませんでした。無肥料でやりたかったので、翌年の春までは土作りのつもりで、のんびり構えていました。

2畝のうち、1畝はアドバイザーさんから余りをもらった、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、白菜の苗を植え、もう1畝には小麦を撒きました。

この小麦の根が、硬盤層を破壊してくれると期待していました。

もらった苗には水をやらず(根が深く伸びない。それに面倒・・・)、刈った雑草で草マルチをしてましたが、生育が悪く、葉っぱのいたるところを虫に食われてしまいました

特に白菜がひどかったです。そこで苗と苗の間にも小麦を蒔きました。

このままだと、まずいかも、と思い始めたのは、雨が降った翌日の畝間の浸水を、何度も目撃してからです。農園の中央には、ため池があります。

これは農園の排水の悪さを何とかしようとした、アドバイザーさん達の努力の賜物なのですが、雨天後この池に、なみなみと溜まった水を、モーターを使って、農園の横を流れている川へ排水するのです。

アドバイザーさんの排水作業を見ているうち、自分の区画の土の中も、同じ様な状態・・・水浸しになっているはずだ、と思うようになりました。実際、畝間には水が溜まっていました。

アドバイザーさんの作業日は、週2日なので、排水されるまで、早くて1日、場合によっては3日ほど。とっくの昔に微生物は、溺死しています。

雨が降っている間ずっと、排水が行われていないと、微生物が生き延びられるはず、ありません。

農園の排水が、とても気になりだした頃・・・2ヶ月が過ぎた頃、もう一区画借りることにしました。こちらは最初に借りた区画よりも、さらに排水が悪く、期間限定のキャンペーン価格で安く借りられました。

今後2つの区画を、「A区画」と「B区画」と書くことにします。最初に借りたのが「A区画」、排水が悪く、安く借りられた方が「B区間」です。

条件の違う区画があると比較ができるし、B区画を自分の工夫で、A区画と同じレベルに持っていけたら、自信も付きます。

無肥料で慣行農法と同じくらいの収量を目指そう!とやる気いっぱいでした。

2014年12月 溝掘りと、新しい農園

12月後半から、区画の端に一列、溝掘りを始めました。硬盤層を突破して、雨水を硬盤層より下へ排水するためです。でも2区画とも、30cmも掘ると水が湧いてきます。作業がしづらいので、灯油を取り出す電池式のポンプをホームセンターで購入し、それを使って、脇の水路や、バケツに移して排水しつつ、掘り続けました。だいたい60cmくらい掘りましたが、この先もずっと粘土層が続いていそうです。

結局、60cm掘ったところで止めてしまいました。3月頃になって、掘った溝を剪定枝や、農園周辺で拾った大枝、小枝を詰めて戻しました。

掘りながらよく思ったのは、仮に粘土層を突破して、自分の畑の雨水を排水できるようになったとしても、今度は隣の区画に溜まった水が、流れてくるのではないだろうか?結局、農園全体の排水を良くしないと、効果は期待できないかもしれない、ということでした。1月も終わりに近づき、少しずつ焦ってきました。

こんな農園では、無肥料で野菜が、まともに育つとは思えない、どうしよう、と考えながら、家に向かって歩いている途中、見慣れた畑に目が止まりました。

女性二人が立ち話をしています。農家の方には見えません。よく見ると、小さな区画ごとに違う野菜が植えられ、支柱が立てられています。

もしかして、ここも貸し農園?急いで女性たちのところに行き、貸し農園を探していることを伝えると、すぐに地主さんを紹介してくれ、空いた区画を借りられることになりました。

この新しい農園、S農園は、広さはM農園の2区画分ほど。地主さんとの直接契約です。排水は心配しなくて良さそうです。私の区画は一番高いところにあり、東側に向かってゆるい傾斜になっています。

南側は2mくらいの絶壁です。ただ土は硬く、5〜10cmくらいしか、棒は入りません。化学肥料を使っていたようです。

さっそく家の近くの落ち葉を、45ℓの袋に詰め込んで畑に行き、何も植わっていなかった畝に撒き、土に掻き混ぜました。でも綺麗に混ぜることができません。

混ぜれば混ぜるほど、軽い落ち葉がどんどん上に上がって来るのです。土の表面の落ち葉は風が吹く度、飛ばされます。落ち葉を混ぜた後、上から透明のマルチを張ってみました。

新しく借りたS農園

これはたんじゅん農法で話題になっていた、太陽熱処理、通称カモマルチです。でも、かなりいい加減なものでした。

新しく借りた畑の畝間の土は硬く、マルチの端に被せるだけの土を掘ることができなかったので、畑の周りにあった、大きい石やブロックをマルチの端に置いていきました。

石と石の間は空いていて、その間に被せた土の量も少なかったので、風が吹く度、空気がマルチに入り込み、一部が浮き上がります。

これでは太陽熱処理をしていることには、ならないのですが、やらないよりはマシだろうと、そのままにしておきました。

この面倒くさがりで、いい加減な性格が、畑の改善をどれほど遅らせただろう、と今振り返りながら思います。

S農園を借りることになりましたが、先に借りてたM農園の契約満了まで、半年以上あります。今までの努力も無駄にしたくないし、畑にも愛着があるので、そのまま続けていくことにしました。

ちょうどこの頃、M農園のアドバイザーさん達が、排水が特に悪い西側の区画の間に、排水路に向かって、30〜40cmの溝を掘り、そこに籾殻を詰めてくれました。

一時改善したように思われたのですが、そのうちまた雨が降ると、通路の一部が水浸しになるという状態に戻ってしまいました。籾殻が細かすぎたのかもしれません。

また籾殻は水を通さないので、雨水が蒸発しにくく、晴れの日が数日続いても、溝を少し掘ると濡れたままの籾殻が出てくるのでした。

M農園のB区画の溝に、籾殻が敷き詰められた

2015年3月 野菜の撤去ができない

S農園の菜花

3月になると、M農園のアドバイザーさんにもらった、アブラナ科の野菜達がとう立ちし始めました。数日眺めて過ごした後、これからどうしようか悩みました。

せっかく花を咲かせて種を付けようとしているものを、根元からばっさり刈ってしまうことに抵抗がありました。そこで種を取るために、置いておくことにしました。

S農園の方も、前年に地主さんが植えた、白菜、大根、ブロッコリーのとう立ちが始まったので、一部を刈り、残りはそのままにして、間にホームセンターで購入したジャガイモの種芋を植えました。

とう立ちした野菜は6月になって茶色になってきたので、撤去しました。その間、太陽熱処理もできないし、時間と場所を無駄にしました。

しかも、地主さんが植えていた野菜は多分F1だったので、種取りをしたところで、1代目と同じ野菜ができるかどうかも分かりません。

でも元気な野菜を処分することに、抵抗がありました。飼ってる鶏を、絞めることができない、みたいなものです。

それから1年後、今では間引きも処分も、普通にできるようになりました。早めに食べるか、土に還してます。

ちなみに、とう立ちした後に刈り取ったものを、そのまま土に浅く埋めていたら、すぐに芽が生えてきましたが、途中で枯れてしまいました。

ブロッコリーは秋に苗になっているのを見つけました。でもF1だからなのか、土の中の微生物が少ないせいなのか、実をつけることはありませんでした。

S農園 さやを畝に浅く埋め、茎は畝間へ。

硬盤層破壊を期待して、M農園のA区画に蒔いた小麦ですが、冬から春にかけ、よく育ち、5月に穂が出ました。6月になり黄色くなったので、収穫しようとしたら、中がスカスカで、実が入っていませんでした。

鳥に食べられたのか、もともと実を付けなかったのか。それよりもっとショックだったのは、根が全く伸びてなかったことです。簡単に引っこ抜くことができました。10㎝も伸びていなかったのです。

話を戻して。3月は夏野菜の種蒔きの季節です。直播が基本ですが、育苗にも挑戦しようと、畑の土を小さなポットに詰め、ナスの種を撒いたりしましたが、水やりを忘れて、ポットの中で枯らしたり、移植しても、どの区画に植えたものも枯れてしまいました。

S農園は、野菜作りを長年やっている人が多く、まだ収穫ができる野菜でも、時期が来たらさっさと撤去して、決められた残渣置き場に積み上げていきます。

その残渣の山の中で、ジャガイモが育っていたりするのを、目にするたび、もったいないな〜と思います。残渣を土に還さないのも、もったいないし、せっかく生えてきたジャガイモも、もったいない。

でも種芋や苗を毎年購入するのが、常識のようです。種を直蒔きすると言うと、驚かれます。

苗がすくすく育っている横で、これから種を蒔くと言うと、「もう遅いよ」と言われますが、資材を使った寒さ対策もせず、水やりもしないなら、根気よく、蒔き直すしかありません。

S農園の残さ置き場(2016年8月)

2015年5月 家族の病気

M農園のA区画を借りた頃、私は職業訓練に通い始めました。半年後の3月、訓練は終わりましたが、クラス最年長だった私の仕事は決まらず、就職活動を続けていました。

そんな時、家族の病気が分かりました。1ヶ月というもの、ため息をついてばかり。ブヨに刺されたとか、些細なことでやる気を失い、畑に行く回数も減りました。

結局、私よりも私の就職活動に熱心だった、職業訓練実施校の紹介で、6月から週3日の仕事に就くことになりました。たまに会社から休みをもらいながら、10月頃まで家族の世話で実家に帰っていました。

2015年 春夏野菜の収穫
M農園 S農園
A区画 B区画
収穫できた野菜 キャベツ、インゲン、キュウリ、(掘り出せなかった、)ジャガイモ (小さすぎる)トウモロコシ、キュウリ、コリアンダー ジャガイモ、インゲン、トウモロコシ、小玉スイカ、大豆(苗)、ミニトマト、コリアンダー
収穫できなかった野菜 小麦、トマト、ナス ナス ズッキーニ、ツルムラサキ(もらった苗)、ナス

夏の間、畑の作業はほとんどしませんでした。収穫の方は、出来が悪かったです。ジャガイモも、種芋より小さいものしか採れませんでした。スイカは、甘みが少なかったです。

ただ嬉しいことにS農園では、取り残したジャガイモから芽が出て、12月にジャガイモが収穫できました。大きさも少し大きくなりました。

土寄せをしなかったので、緑になっているのが多く、食べずに種芋にしました。春になると、また芽を出し、6月には種芋以上の、大きさのジャガイモが収穫できるようになりました。

S農園 ピーマンだと思っていた、雑草

これこそ私が求めていたものです。今後も、こぼれ種や、取り残しの種芋から、勝手に野菜ができる畑にしていきたいと思います。

じゃがいもは、年に2回収穫できるところがいいです。でも秋ジャガを収穫するのは私だけで、周りのみんなは、作りません。春ジャガより量が多く取れないから、というのが理由のようです。

M農園のA区画にも、ジャガイモを植えたのですが、粘土質で、手で掘り起こすことができず、スコップや三角ホーを入れると、ジャガイモをぶった切ってしまうので、収穫は諦めました。

秋になっても芽が出てこなかったので、芋ができなかったか、できても全部腐っていったのだと思います。

小玉スイカはイタチに、トウモロコシは、イタチとカラスにやられてしまいました。収穫できたのは最初の1、2個だけ。来年はネットが必要と思いました。

豆科は無肥料でも、ちゃんと育ちました。インゲンはホームセンターで買ったF1でしたが、どっちの農園でも育ち、そこそこ収穫できました。

S農園に植えた、もらいものの大豆の苗は、最初はそれほど生育が良くなく、そのうち忘れていたのですが、夏、実家から帰って見に行ったら、大きく成長していて、周りに日陰を作っていました。

F1のキュウリも普通にできました。支柱を立てるのが面倒だったので、地這いキュウリです。水を一切やらなくても育ち、実をつけました。

逆にナスは、どこで何度蒔いても、芽が出ず(発芽したかもしれませんが、枯れていったのだと思います)、8月過ぎて、やっと1つ苗になって育っているのを、M農園のB区画で見つけましたが、そのうち冬が来て、収穫できずに終わりました。

S農園には、ミニトマトを何度も蒔いたのですが、2、3センチのところで枯れていきました。諦めて放っていたら、知らぬ間にあちこちから生えてきて、8月くらいから実をつけ始め、12月になっても花を咲かせていました。それなりに収穫できましたが、小さいのが多く、皮が厚めなのが残念でした。最後の方は色が褪せ、味も落ちてきたので、枯れる前に刈り取りました。

ズッキーニは、S農園で2箇所に1粒づつ蒔きましたが、生えてきたのは1つだけ。花は咲いても実はつけず、枯れてきたので、撤去しました。

もう一箇所、ズッキーニを植えたと思われるところから、良くわからない芽が出てきました。

途中からズッキーニでないことは分かったのですが、雑草にも見えず、そのまま放置。秋に実家から戻って見に行くと、コスモスが束になって咲いてました。

この頃は知らないことだらけで、今では、なんとも思わないことに、驚き、喜んでました。

畑にばら撒いたコリアンダー(パクチー)の種が、発芽したのを見つけては喜び、農園の堆肥の中や、自分の区画の畝間にキノコが生えているのを見つけては喜び。

S農園の地主さんが植えていた大根を、そのまま放置していたら、筋だけがきれいに残り、とても感動しました。同じくS農園の畑の端に、フキノトウを見つけた時も嬉しかったです。

S農園 大豆とコスモス、赤いのは彼岸花

2015年8月 畑の契約更新

M農園の排水の悪さは、相変わらずでしたが、救世主が現れていました。私が契約した半年後に、新しく入ってきた農園利用者の中に、農園を振り回している人がいました。

彼も、農園の排水の悪さを憂慮しているようでした。彼は自分の周りの溝はもちろん、農園内の一部の溝を、さらに深く掘っていました。私が掘った60㎝を超えていて、深い所は、70、80cmくらいだったのではないでしょうか。

掘った時に出た土砂を使って、農園の駐車スペースを広くしたり、水路に向かう坂を階段に変えたり、残渣置き場になっているスペースに、粘土で囲いを作って、残渣の燃やし場を作ってみたり、朝から夕方まで、思いついたことを全力で行動に移していました。

その人に、どうして溝を深く掘っているのかを聞いたら、農園の横を流れている川から農園を見ると、排水用のパイプが見える。畑の中に暗渠があるはずで、それを突き止めるため、あちこち試し掘りをしてる、とのことでした(その後、暗渠は発見されました)。

私も溝は掘りましたが、それは自分の区画のところだけで、しかも「他のところの水が流れてきたら、やる意味がないじゃないか!」などと思いながら掘っていたのですが、彼は自分の区画だけでなく、外側の溝にまで手を出して、解決法を探っていたのです。

全体を良くするには、みんなのために一肌脱ぐ人が、必要なんだよな〜と、他人事のように感心しながら、彼に感謝の意を表しました。このM農園には、近所に住む人以外にも、色んな所から色んな人たちが来ていて面白いです。

農園の契約更新の書類が届いて、迷っていたところだったのですが、彼と話をしてみて、この面白い活動の行方を、見てみたいという好奇心から、更新することにしました。

2015年10月 仕切り直し

家族の世話のため、実家に戻っていた頃、林さんが来日し、畑を見て廻られていました。私も前年に引き続き、参加しました。前年より多くは参加できませんでしたが、数カ所行きました。

林さんは畑参観で得た、新しい話をされるし、実践者の畑も様々なので、毎回勉強になります。でも今回が最後だとおっしゃったので、少し寂しく思いました。

病気になった家族は、秋から冬にかけ、徐々に回復していきました。今後の予想はつきませんが、病気を知った頃よりは幾分、楽観できるようになり、実家に帰ることもなくなりました。

たんじゅん農法の交流会に参加した後は、改めて頑張ろうという気になるのですが、今回は、太陽熱処理に、焼き塩を取り入れることにしました。

小皿に塩を盛り、そこにアルコールをかけて着火しました。塩はパチパチと弾けて床に飛び散り、掃いて集めないといけませんでした。

私は交流会で、「畑が粘土で、晴れるとカチカチ、雨が降るとネチャネチャになって水が溜まる」「30㎝掘ると、水が湧いてくる」「スギナがたくさん生えてくる」という話をしました。

M農園 B区画 使い回しているマルチ

すると、林さんと城さんから「きれいすぎる(微生物の種類と量が極端に少ない)」、「もっと汚した方がよい」と言われました。

具体的には、今まで入れてきた有機物(落ち葉、残さ、刈った雑草、生ゴミ)以外に、牛糞堆肥なども入れることを勧められたので、M農園のB区画(14㎡)に、300mlくらいの牛糞堆肥を、パラパラっと撒き、その後、焼き塩をジョウロに入れ、用水路の水を入れて区画にまんべんなく撒きました。期間は10月末から2ヶ月です。

M農園のA区画は、すでに玉ねぎの種を蒔いていたので、半分だけやりました。

太陽熱処理は、すでに2回、春と、確か夏にもやったのですが、10日ほど経って行ってみると、あちこちに穴が空けられていました。多分カラスだと思うのですが。今回は被害なく、両区画ともしっかりできました。

全面マルチをしたB区画は、初めて手応えを感じました。土が柔らかくなり、素手で掘ることができるようにり、本当に変わるのだと関心しました。

でも、棒が何十センチも刺さるようになったとか、そんなことはなく、相変わらず、5〜10㎝くらいしか刺さりません。多分、私のやり方がまずいのでしょう。

マルチを剥がし、落ち葉を入れて耕運しました。

A区画の方は、変化が見られなかったので、もう一度太陽熱処理をすることにしました。今度は、発芽した玉ねぎの苗を、B区画の方へ移植し、全面にマルチをしました。

M農園 A区画 隣の畝には玉ねぎの種を蒔いた

最初の1年を振り返ってみると、野菜がうまく育たなかったのは、土ができていなかっただけでなく、育て方がいい加減した。

先を見通すことができず、常に準備不足で、行き当たりばったりでした。失敗を恐れて、引っ込み思案になっていた気もします。

反省をふまえ、次回からやろうと思ったのは、種はケチらず、固定種をどんどん購入すること。自家採取は手間がかかって面倒で、大雑把で適当な私には向きません。

時間も場所も取るので、やめます。固定種を扱っているお店に、しっかりお金を払って買えばよいのです。でも、こぼれ種には期待したいと思います。

それから蒔く時期を守ること、そして、少し早めに蒔き始め、数回に分けて蒔くこと。思いつきで、時期を確認せずに蒔くことがよくありました。

今年(2016年)もやったことですが、レタスが発芽しないな〜と思って、袋を見たら、蒔く時期が終わっていました。

そんな風に種を無駄にしておきながら、種を節約しようと、間引きが不要になるよう、間隔を空けて蒔いてみたり、1つの穴に3粒蒔くものを、1つだけにしたり。

しっかり蒔かなくてはいけないところで、ケチり、必要のないところで、無駄に撒いていました。

あと隙間に葉物の種をもっと蒔いておけば良かった思いました。葉物を涼しいうちにたくさん植えて、葉っぱで土を埋めることを心がけようと思いました。

そんな話をM農園の隣の農家さんに話したら、「そうやで。始めは葉物がいいよ。早く収穫できるし、途中で間引いて食べられるやろ。でもみんな、時間がかかるものを作るなあ。」と言ってました。

私もキャベツ、大根、ブロッコリー、玉ねぎ、人参といった、The 野菜を作りたがり、葉物を軽く扱っていました。収穫しなくても、そのまま放っておけば、とう立ちして種をバラまいてくれるし、雑草の繁殖を抑えてくれる、ありがたい存在です。野菜の隙間には、葉物です。

M農園の土には、変化を感じられるようになってきたのですが、S農園の方にはそれが感じられませんでした。

土は硬く、借りて半年以上経っても、ジャガイモを植えていた畝以外は、良くなっている感じが全くしません。

雨の度に水没することはないのですが、それは土の中の排水が良いせいではなく、ゆるやかな傾斜地だからです。

S農園 畝間を10cm掘り、落ち葉を敷く
S農園 上から土をかける

ここも太陽熱処理が必要なのですが、人参や、こぼれ種から発芽したブロッコリーの苗があったので、できませんでした。

代わりに通路を10センチほど掘り、土をどかし、落ち葉を敷き、どかした土を上から被せていきました。春までに微生物が増え、それが畝の方に移動してくれるといいな〜、などと思いながら。

しかし、もともと微生物が少ないところに、いくら餌を与えても、変化は有りませんでした。3ヶ月後に掘り返してみると、落ち葉が数枚重なって、薄い化石のようになったものが、たくさん出てきました。

2016年1月 畑の土木工事

年末に大ニュースが飛び込んできました。M農園で、排水工事を行うというのです。しばらく前にも工事の話は聞いていましたが、地主さんの反対にあって消えた、という噂でした。

でもこの話はアドバイザーさんからです。最近、ますます水没が激しくなっていた、真ん中の通路を、外側の溝まで、60㎝の深さで掘り進め、さらに希望者の区画まで、通路に繫がる溝を掘ってくれるということでした。

今までの工事とは違い、1ヶ月を超える、大掛かりな工事が行われました。まずアドバイザーさん達が、行政に問い合わせ、竹の提供先を見つけ、トラックで何往復かして竹を農園に持ち込みました。

2月になると、あちこちから狩り出された農園スタッフの方達が、真ん中の通路や区画の間に溝を掘り、掘った通路に竹を敷き詰め、その上から裁断した竹などを詰め、最後に木材チップをかけて通路を元に戻しました。

この工事をして以来、雨が降っても浸水することはなくなりました。もし畑を借りるのが1年遅かったら、S農園を借りることはなかったでしょう。

太陽熱処理と、この土木工事の後、M農園の区画は激変し、S農園の魅力が、だんだん薄れていきました。

2016年3月 エレイン・インガム博士

M農園の排水工事が終わった頃、土壌生物学者、エレイン・インガム博士の動画を見て、炭素循環農法のウェブサイトを初めて読んだ時以来の、衝撃を受けました。

原理・原則が、たんじゅん農法と同じだけど、科学者の彼女は、見える世界の話しかしないので、具体的で分かりやすいです。たんじゅん農法に懐疑的な人も、インガム博士の話なら、理解できると思うのですが、どうでしょう。

しかし、彼女のことを紹介している日本語サイトが、ほとんどありませんでした。たんじゅん農法を含め、無施肥栽培は、少しづつ広まっているというのに。この動画の内容は、みんなが知るべきだと思います。

海外では、よく知られているようです。といっても、海外の有機農業の世界でも、革新的な存在みたいです。インガム博士の話は、これからもブログで書いていきたいと思います。

この頃、林さんが私用で来日され、また何箇所かで交流会がありました。もう、いらっしゃらないと思っていたので、嬉しかったです。経済的に余裕がないため、近場の一箇所に参加しました。これからも、年に一回はいらして欲しいです。

2016年4月 裁ちばさみ

野菜作りを本格的に始めて、2年目に入りました。去年始めたパートの仕事は3月で辞めました。無職になり、農園に行く回数が格段に増えました。

去年の反省をふまえ、夏草が育つ前に、まめに種を蒔き、日陰ができないよう、早めに雑草をカットするようにしました。

この時、役に立つのが、裁ちばさみです。収穫に使っていたハサミ(文具用)が見当たらず、切れなくなった裁ちばさみを持っていったら、予想以上の仕事をしてくれることがわかりました。

布は切れなくなっても、雑草は普通に切れ、一般のハサミより多くの雑草を一度に切ることができます。先が細いからこまかい作業もうまくできます。

ある程度伸びた雑草を、まとめて刈るにはノコギリガマが必要ですが、作物の間に生えた雑草や、まだ生え始めの小さな雑草をカットするには、裁ちばさみを使うのがお勧めです。

M農園のB区画は、土が良くなったことを実感してはいるのですが、暖かくになるにつれ、スギナがまた生えて来ました。

A区間は、土が硬くて相変わらずの粘土質なのですが、スギナはそれほど、生えてません。この差は何なのでしょう。

そこでA区画の、玉ねぎとニンニクとえんどう豆を早めに収穫し、スギナがたくさん生えてくるところを中心に、太陽熱マルチを1ヶ月くらいしました。

野菜の育ち具合は、ルッコラは成長するに従い虫が付きます。大きくならずにとう立ちします。微生物の量が少ないことを実感します。

S農園の人参は、土が硬くて、引っこ抜くのが大変だった割に、蒔く時期が遅くて、小さかったです。

2016年 秋冬野菜の収穫
M農園 S農園
A区画 B区画
収穫できた野菜 (B区画へ移植したので)なし 玉ねぎ、ニンニク、ルッコラ、えんどう、イチゴ(6月) ジャガイモ、玉ねぎ、ニンニク、ルッコラ、えんどう、人参、イチゴ(〜8月!)
収穫できなかった野菜 なし なし なし

2016年8月 夏野菜の収穫と区画の引っ越し

春に仕事を辞め無職に戻ったので、M農園のアドバイザーさんと話す機会が増えました。そんなある日、「一番奥の区画のソルゴーが、ずいぶん伸びましたね。」と話しかけたら、成り行きで、私の借りてる、A区画 B区画と交換してもらえることになりました。

農園では空き区画があれば、区画の交換ができるのです。その区画は空き区画で、アドバイザーさんが土壌改良のため、ソルゴーを蒔いて、育てていたのでした。

冬に太陽熱処理を2回もしたのに、相変わらずの粘土質なA区画に、これから何を蒔こうか悩んでいたので、とても嬉しかったです。交換してもらえる区画は、2年前から排水の良い区画で、土もふかふかしていて、羨ましく思っていた所です。

※ A区画と交換してもらおうと思っていましたが、結局B区画と交換してもらいました。

たまたま、農園に作業に来ていた顔見知りの利用者に、奥の区画に引っ越すことを話し、そこを野菜でいっぱいにする夢を語っていたら、「ほんまかいな。」と言って、笑っていました。

今までの私の区画を知っている方なので、そう言われても、しょうがありません。

彼は私と会うたびに、「○○(私)さんは、頑固やからな〜。」と言う人で、最初はその意味が分からなかったのですが、アドバイザーさんのアドバイス(有機肥料を入れましょう、石灰を撒きましょう)に従わない私を、生暖かく見守ってくれていたのだと思います。

さっそくソルゴーの生えている土に棒を刺してみました。すると、あれ?15㎝くらいしか刺さりません。そこでB区画に行って、刺してみました。こちらもそのくらい刺さります。何だ、思った程良くないな。

そう思い、念のため、A区画で刺してみました。すると、60㎝くらいまで刺さったのです。びっくりしました。

相変わらずの粘土質なのに、やっぱりマルチの効果はあったんだ!どの箇所でも深く刺さる訳ではありませんが、これには驚きました。

そして、しばらく悩みました。わざわざ交換する必要ないかも。知らないうちに、土は良くなっていたわけです。粘土質なのは変わりませんが。交換せずに、このまま続けて頑張るか。

でもすでに、ソルゴーを1/3くらい刈り取り、B区画に撒いたりしてたので、やはり交換して頂くことにし、久しぶりに雨が降った翌日、ソルゴーを刈った部分に、太陽熱マルチを貼りました。

M農園 相変わらず粘土質なのに、硬盤層が破壊されていた、A区画

今ソルゴーが種を付けています。このソルゴー、結局2mも成長しませんでした。一番高いのは2mありそうですが、平均すると160〜170cmくらいです。

これからここも、良くしていきたいと思います。この区画はC区画と書くことにします。

S農園 マルチも新しいものにしました

S農園の方は数日前に夏野菜を全部撤去し、残さを細かくカットし土と混ぜ、一部を除いて全面、太陽熱マルチをしました。

M農園の土が良くなっていっているのに比べ、S農園の土がぱっとしないので、S農園で作業する時間が増えました。今回のマルチにも期待したいと思います。

7月も半ば過ぎ、久しぶりに昼間に農園で作業したところ、5分で倒れそうになりました。それ以来、朝5時に起きるようになりました。すぐに畑に出かけ、1、2時間作業して家に戻るという毎日です。それ程、汗をかくこともなく作業できます。

これから夏は、これでいこうと思います。これなら仕事が見つかっても、畑作業を続けていけそうです。冬になると、暗くて無理でしょう。そうなると週末しか、作業ができなくなるかもしれません。

ところで、春夏野菜の収穫ですが、インゲン、ミニトマト、キュウリ、ジャガイモ、オクラ、ルッコラ、フダンソウ、レタス(たった1つ)、ツユムラサキ、空芯菜、コリアンダー。

去年よりも収穫量も種類も増えましたが、質も量も、まだまだです。

来年は中玉トマトも育てたいです。M農園の利用者からもらったトマトが、とても美味しかったから。キュウリは今度は支柱を立てて育てようと思います。

地這いは楽ですが場所を取ります。そして今度こそナスを収穫しようと思います。

今まで人参の種まき以外、全く水を与えなかったのですが、ナスはそのせいで全部枯れたのだと思います。そしてナスやスイカなど、高温で育つ野菜は直播きはやめて、家で育苗しようと思います。

乳酸発酵のきゅうりのピクルス作り。左は柴漬け

このブログは畑を借りた、2年前から始めるつもりが、イメージ通りに作れず、1年以上放置してました。最近、少し知識も付き、やっとアップすることができました。

今も畑で作業しながら、「ああ、(自分は)何も分かっていない。バカだな〜。」と思うのですが、この2年間をこうやって書いてみると、昔の自分に比べたら、マシになっていることがわかりました。

これからも畑で得たことや学んだことを、書いていきたいと思います。

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